逼迫する財政と高齢化の進行 2

今は償還が少ないですからほとんどが利子ですが、今年はその国債費が11兆530億円です。


仮に防衛費を全部削っても、その3分の1にも満たないのです。


防衛費を削ればやれるといった時代とは違うのです。


もちろん、防衛費は少ないほどよいですが、これを削れば福祉を上げられるといったなまやさしいものではなく、すでに財政は破綻寸前です。


・・・いずれにしても、保障を増やそうとすれば当然、負担は増えます。


ただ、負担を増やさなくても保障を増やすことができる場合があります。


これは成長率が高いときで、税金などの累進で、成長率が高ければそれ以上の警で国の収入が増えますから、それが可能になります。


もう一つは、手のかかる人が少ないとき、例えば老人の比率が非常に少ないときです。


働く人はどんどん増えますが、高齢化率が非常に低く、受給者が少ないというときは、税金の率を上げなくても、あるいは少しぐらい下げても、給付を増やすことは可能でしょう。


この2つの条件があれば、負担を増やさなくても保障を増やすことができます。


・・・ところが、現在、日本は高齢化が世界に例のない勢いで進んでいます。


人類のかつて経験したことのない高齢社会がやってくることは間違いないでしょう。


しかも、高度成長の時代は完全に終わりを告げました。


あの高度成長時代は、高齢化率が低義長率は高かったので、負担を減らして保障を増やすこともできたのです。


しかし、今は事情が一変しています。

逼迫する財政と高齢化の進行

公的負担は税金と社会保険料からなっており、保障が増えればそうした負担も増えざるをえません。


高福祉国家は高負担国家となるほかはないのです。


ところが、選挙に立候補する人たちは、いまだに「私が当選の暁には、保障は大いに厚くして負担は大幅に軽減する」などといいます。


どうしたことでしょうか。


そういうと、


「そんなことはない。軍事費を削ればよい」


・・・といいます。


しかし、昭和603年度政府予算でも、軍事費つまり防衛費総計は3兆7000億円で、一方、年間の国の借金つまり国債発行額は603年度は随分よくなっていますが、それでも8兆8400億円です。


国債はその多くが10年ものであるからどんどん溜まっていき、溜まりに溜まった借金の合計は、63年度末に1259兆円に達しています。


1年間に政府が使う金額は56兆7000億円ほどですから、その3倍ほどの借金になります。


これほどの借金になれば猛烈な利子がつきます。


利子および償還に使うカネを国債費といいます。

転換の時代 3

所得が2倍になれば、税金は3倍になったり、4倍になったりします。


経済が成長し国民のふところ具合がよくなってくると、それ以上の速度で、国家や地方自治体の収入は増えていくが、成長が落ちてくると今度は逆になってしまうわけです。


もともと公的保障といっても、それに必要なカネを国とか県とか市があらかじめ持っているわけではなく、そのカネは国民から集めるほかはありません。


この面からすると、経済成長の速度が落ちて公的収入が増えなくなると、国民の負担率を増やすほかはなくなります。


それをあまり増やさないとすれば、財政赤字がひどくなり、この点だけからしても、福祉国家は行きづまってくることになります。


どこの国でもそうです。


こうして第一次オイルショックの1973年以降、世界的に高度成長の時代が終わると、福祉国家の方向は財政的に挫折してきました。


「福祉国家の破綻」とか「福祉国家の破産」などがよくいわれるようになってきました。


日本も大変です。


先述の通り、国民の生活を公的に保障しようとすれば、そのカネは国民が負担しなければなりません。


社会保障をすれば公的負担があるのは当然です。

転換の時代 2

「ゆりかごから墓場まで」という標語は、もともとイギリスの労働党に連なるフェビアン社会主義のグループの流れから出てきた言葉です。


これは戦後、東西で、ことに西側諸国において掲げられ、その旗印のもとにいろんな社会保障の制度が整備されてきました。


日本も同じで、昭和47年(1972年)に「福祉元年」が宣言されました。


国民皆年金・・・


つまり日本国民はみんななんらかの年金に入る制度が確立したことをうたいあげたものです。


日本で初めて、国民全体に老後の一つの保障ができたというわけです。


そういう意味をこめて、「福祉元年」といったのです。


ところがそれを宣言した次の年に、第一次石油危機がやってきて高度経済成長がバッタリ止まりました。


止まった瞬間から、そのような社会保障制度は財政的に非常にむずかしくなってきました。


どんどん成長が進んでいる間は、それだけ国民の所得は増えますから、税金や社会保険料の掛け金が増えます。


しかも、それらは平均的に上がるのではありません。


所得が2倍になれば税金が2倍になるのではなく、累進的に増大していきます。

転換の時代

今日は転換の時代・・・


しかもたんなる転換ではなく大転換の時代だということは、以上の点からも明らかでしょう。


私たちの今日生活している地盤そのものが激変しており、私はこれを「地殻変動」といっています。


いずれも生協にとって重大なことなので、生協と直接関係の出てくるものを、いくつか取り上げてきました。


第一は、自然の限界の接近、第二は、今までとは根本的に違った新しい技術革新の波の進行です。


しかし、生協とも密接な関連のある世界の「地殻変動」としては、さらにいくつかの動きを看過するわけにはいきません。


その一つとして、国家のあり方の間題に注意しておきましょう。


とくに強調しておきたいことは、戦後の国家の一つの理想像が崩れてきたことです。


東西いずれもそうでしたが、ことに西側において、戦後ずっと最近まで、国家の一つの理想のようにいわれてきたものがあります。


「ゆりかごから墓場まで」


・・・みんな保障するのがよい国家だ、というのがそれです。


いわゆる福祉国家の理念ですね。

新しい技術革新 3

現在、歩留りが10%ぐらいまできていますが、もう少しよくなると、完全に企業化できるそうです。


これには、ハマチの養殖の場合とは違って、生賓ではなく海に放流して自然の状態で成長させうる利点があります。


こういうものを総称して、私は「自然の人工化」といっているのです。


これらだけによっても、現在進行している技術革新が、ちょっとやそっとのものでないことはすぐにわかるでしょう。


これまでのものとは根本的に性格が異なるのです。


・・・今までの歴史経験では、一つの革命的な技術革新の波は20年から30年続くのが普通でした。


今回のものは、1980年頃から始まったのですから、今世紀いっぱい続くことは間違いありません。


おそらく21世紀の初め頃まで続くでしょう。


バイオ技術などは「21世紀の技術」といわれ、まだ多くは実験の段階で、産業化が実際に始まるのは21世紀だともいわれています。


・・・ともあれ、これから2、30年の間に先進国の産業はすっかり変わるはずです。


それだけでなく、生活そのものがすっかり変わるでしょう。

新しい技術革新 2

自然にはなかったものを人間が造る例は、この他にもいくらもあります。


身近かなものでは、例えばエノキ茸もそうです。


この頃よく食卓にのぼるあのエノキ茸は自然のものではありません。


工場で生産されたものです。


天然のものは、あんなに茎が白く長く、あんなに傘が小さくはありません。


もっと傘が大きくずんぐりしています。


この頃よく見るエノキ茸は自然にはなかったものです。


アイデアマンとして有名な大分県の平松知事のアイデアの一つに、マリンポリスの諸実験があります。


大分の南の方で、漁業にいろいろと最近の先端技術を導入し、実験しています。


そのなかの一つに、音楽で魚をとる新しい漁法があります。


稚魚のときに同じ音楽をずっと聞かせて、魚に音楽をおぼえさせるのです。


大きく成長してから、この音楽を流し、そこに集まる魚を一網打尽に捕えようというわけです。


これは、魚にそういう習性があるから利用したのに違いありませんが、しかし今まで自然にはなかった、音楽のわかる魚をつくるということです。

新しい技術革新

現代の技術革新の先端を行くレーザーは、人間が造った光です。


電灯も人間が造ったといえばそうですが、電気の光というのは、光としては自然光です。


発火装置は人間が造ったのは確かですが、光そのものはロウソクの光とまったく同じ自然光です。


光の特性は周囲に拡散することにあると、私たちは教わってきたはずですが、これは自然光の特徴です。


レーザー光線にはその特徴がありません。


周囲に拡散せず一つの方向にしか進みません。


一つの方向にしか進まないこの特性が、いろいろと利用されてきています。


例えば、通信です。


現在、日本の電話もこれに代わりつつあります。


ほどなく全部が光通信に代わるはずです。


そうなれば、「電話」というのはおかしくなるでしょう。


電気通信であるから「電話」であって、光通信になれば、さしずめ「光話」とでもいわなければなりません。

"自然の人工化"とは

今日の技術革新には、「自然の人工化」ともいえる、新しい動きがみられます。


今まで自然にしかなかったもの・・・


あるいは自然にはなかったものを、人間が造り始めたということです。


これは大変なことです。


例えば、バイオテクノロジーの領域です。


糖尿病の薬でインシュリンというのがありますが、これは、これまでは自然にあるものを抽出してきていたが、最近はこれを合成する技術ができ、すでに一部は産業化の段階に入っているようです。


自然にしかなかったものを、人間が造り出したということです。


また、最近よく話題になる体外受精もその一例です。


今までは体内で受精し着床してしか子供は生まれてこなかったのです。


今は体の外で受精させておいて着床させることができます。


あるいは人工宝石があります。


従来の人工宝石はガラスなどで造ってごまかしていたが、今は自然のものと成分の全然違わないものが、造られ始めています。


これらは自然にしかなかったものを人間が造り出す例ですが、最近は自然にはなかったものも人間が造り出してきています。


そのよい例が人工光線、レーザー光線でしょう。

ノミニケーションと働く女性

ノミニケーション。


この言葉は、「飲む」と「コミュニケーション」を合成した新造語で、私自身はあまり好きではありません。


その前に、PRやHRというアメリカ語からの連想で、「アルコール・リレーション」という造語も使われましたが、これもあまり好きではありませんでした。


日本のビジネス生活、ひいては社会生活全般のなかで「酒席」が大きな役割を果たしている事実は、否定できません。


それについて考えるとき、ポイントは、「対話の場としての酒席」であって、必ずしも「酒を飲む」ことではないでしょう。


また「ノミニケーション」という言葉には、差しつ差されつ、一対一で酌み交わすというムードがありますが、「酒席」のほうは、一対一から、多人数の宴会まで、イメージとしても幅が広いと私には感じられます。


そして実際にも、体質的にアルコールは受けつけないが、酒席でのコミュニケーションは巧みだという人が、男にも女にもいます。


反対に、酒は相当に飲むが、酒席でのコミュニケーションは下手であるという人も、男女を問わず、ときに見かけるものです。


ただし、経験的にいうと、ノミニケーション上手な女性は、必ずしも多くありません。


これは日本の酒席なるものが、古代からの祭り、封建時代の「無礼講」などの伝統を受けて、やや特殊なルールを持っており、明治以降はそのルールが主に男性の側にのみ伝えられてきたことと関連すると思うのです。


これは派遣 千葉などで働く女性たちにも共感を得ていることです。


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